教育コラム

フィンランドの子どもはなぜ学力世界一なのか

第7回

フィンランドの授業-算数を教える (4)

リッカ・パッカラ

2009年05月19日公開

リッカ・パッカラ

リッカ・パッカラ

1969年フィンランド、ポリ生まれ。'95年、南西部の都市トゥルクにあるフィンランド最古の大学トゥルク大学で教育学の修士学位を取得して、首都ヘルシンキの小学校の先生に。3つの学校で10年間子どもたちを教え、2005年には特別支援教育教師の学位をとったが、夫の転勤に伴って8月から東京での暮らしが始まった。
来日4年目を迎えた現在、初めての国日本で、結婚以来初めての専業主婦の暮らしにもようやく慣れ、子どもが通う学校の読み聞かせなどのボランティアに積極的に参加する一方で、東京で暮らすフィンランド人女性のネットワークを主催している。10歳の男の子と6歳の女の子の二児の母。
2008年7月に小社より発刊したドリル『リッカ先生のたのしい算数 たし算ひき算』は、「こんな教科書で算数を勉強したかった!」と大人にも大好評。また、2008年11月に発売になった『フィンランドの教育力~なぜ、PISAで学力世界一になったのか~』(学研新書)は、新聞各紙で紹介され、好評発売中。

お金の価値を教えよう

10~12歳くらいまでは、子どもはお金の価値観を本当には理解していないのが普通です。
もちろん、金額の大小やどの紙幣が高いかなどはわかっているでしょうが、金銭感覚のようなものは、ちゃんと教える必要があります。

それは、遊びを通してでも教えることができますし、実際にお店に足を運んで買い物をしながらでも、もちろん学ぶことはできます。

■「お買い物ごっこ」

まずは、最初にお金を用意します。
100円ショップのようなところに売っているおもちゃの紙幣やコインでもいいですし、本物のお金でもいいでしょう。また、子どもと一緒に紙でつくってもいいですね。
ポイントは、実際に流通している金額のお金を用意することです。

遊びに入る前に、紙幣とコインの違いを教えましょう。一番高いお札(一万円札)を見せて、それよりも小さいお札(五千円札、千円札)が何枚あれば、同じ金額(価値)になるかを教えます。
コインでも同じことをしましょう。

次に、お店を作ります。
お店で売るものは、おもちゃでもいいですし、牛乳やジュースの箱、瓶に入ったクッキー、あるいは日常生活品など、子どもになじみのあるものなら何でもかまいません。
用意したら、それらに子どもと一緒に値段をつけます。値段は実際にお店で見る値段と同じように、信憑性のある値段にします。

これで準備ができました。
きょうだいやお友だちがいれば、このお買い物遊びはもっと楽しくなりますよ。最初は大人がお店の人になり、子どもたちがお客さんになります。ひとりいくらずつお金を持つか決めます。初めての時は少ない金額がいいでしょう。

お店役の大人は、何か欲しいかを子どもに尋ね、お金を払ってもらいます。そして、買う品物の代金をどうやって計算するのかを説明して、お金をもらいます。
どのお札とコインがいくらで、自分の持っているお金を慎重に数えるにはどうするのか、持っているお金と買うものの値段を比べることを教えます。

子どもはこういうことが大好きです。
すぐに子どもはお店の人になりたがります。品物を複数買えばたし算の練習になり、おつりの計算はひき算の練習になります。子どもの答えが合っているかは、電卓を使って確かめてみてもいいかもしれません。

■大きな子には買い物のお手伝いを

ほとんどの子どもは、買い物のお手伝いをするのが好きです。独立心と信頼を感じ、大人になった気分になるからでしょう。
機会があるたびに、子どもに一緒にお店に行こうと誘ったり、子どもが十分な年齢ならひとりで買い物に行ってもらいます。

ひとりで行かせる場合は、必要なもののリストを作り、それらを買うのに十分なお金を渡します。電卓を持っていかせるのもいいでしょう。そうすればレジで会計をする前に全部でいくらになるかチェックできます。

同じような品物でも値段が違いますし、なかには特売品として安くなっていることもあります。どれが一番安いかを子どもにチェックするように教えると、喜んで探してきます。

似たものの中から考えて選んだり、特別な値段で出ているものをチェックするというのは、とてもいい訓練になります。例えば、旬の野菜は非常に安い。そういったことに自然に気づかせてあげましょう。

値段を比べることによって金銭感覚が身につき、子どもは自分で選択できることを知ります。
お金の価値観を教えることは子どものお小遣いにも役立ちます。子どもが何か高いものをほしがっているときは、毎月のお小遣いを節約することを教えましょう。

欲しいものを買うためにお金をためていくのはとてもいい教育ではないでしょうか?欲しいものを手に入れるのは簡単ではないこと、自分の一番欲しいものを手に入れるためにはほかの欲しいものを諦める必要があること、そして、小さいことの積み重ねがやがて大きな実を結ぶことを学べます。

私の12歳になる息子は、任天堂DSを買うために数か月お金を貯めていました。新製品の値段1万8千円にはまだ5千円足りませんでした。
先日、息子は近所のゲーム屋さんで中古のDSを見つけてきました。その中のひとつは1万3千円でした。息子は、それを買いたいという自分の考えを理路整然と説明したので、私たち親は、息子にそれを許可しました。

親として、私たちはとても幸せでした。お金の扱い方を知り、買う前に考えるという、私たちの信条(主義)を受け継いでいたからです。それに中古を(といっても、とてもきれいだったのですが)欲しがったこともうれしく思いました。ものを大切にし、なおかつお財布にも優しいことですから。

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