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第6回

内発的動機付けと学力…その2

小宮山 博仁

2009年04月21日公開

公立の学校で内発的動機付けの面白い授業を受けた子どもは、思ったほど学力が向上しないことがわかりました。それを心配した親は35年ほど前から、「練習問題」をたくさん解くために、塾に行かせるようにしたのです。
公教育のこのような矛盾を最初に知ったのは、塾の講師だと言ってもよいでしょう。理想的な「内発的動機付け」の授業を受けた子どもなのに、内容が定着していないため問題を自分で解けない、そういうケースを塾経営者はいやというほど見てきたのです。

特に1990年頃から文部科学省は子どもの学力観を転換し、「意欲・関心・態度」といった主観的なあいまいな教育政策を実施しています。
多くの学校関係者は「偏差値教育」から脱却できるとの期待をもっていたはずです。知識を与えるだけの「詰め込み教育」が批判され、練習問題をたくさん解くことさえ敵視され、宿題を出さない小・中学校が急増したのです。

これでは学力が定着しないのは明らかなのですが、多くの進歩的と思われる教育関係者はこの「波」に乗ってしまいました。
そのような学校をよく見てきた一部の進学塾は、この教育政策の不備をついて、痛烈に学校批判を始め、テストの点数で子どもを競わせる「外発的動機付けの受験勉強」を積極的に取り入れるようになりました。当然受験に熱心な親はそのような進学塾を支持し、学校と進学塾の不幸な対立が続いたのです。

次回は何故学校の授業だけでは学力が向上しなかったのかを、もう少し詳しく検証する予定です。

小宮山 博仁〔こみやま ひろひと〕

学研メソッドネットゼミ主宰。一貫して「小・中学生に本物の学力を身につけさせるにはどうしたらよいか」をテーマに学習塾を経営しながら、「できる」だけではなく「わかる」ことを重視した教育運動を新聞、雑誌などのメディアを通じて行う。主な著書に「塾の力」「大人に役立つ算数」(以上、文春新書)、「塾 —学校スリム化時代を前に」(岩波書店)、「子どもの『底力』が育つ塾選び」(平凡社新書)、「中学受験と生きる力」(日本評論社)など。
日本教育社会学会、日本キャリアデザイン学会、日本教育学会、日本教育心理学会などの会員。毎日小学生新聞(毎日新聞社)で教育コラム「小宮山塾」連載中。

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