幼児から大人まで、「見える学力」から「見えない学力」までをサポートします。


小宮山 博仁
2009年06月23日公開
学力向上を考えると、従来学校で実践されていた「内発的動機付け」だけでは限界があることは明白です。このことを教育心理学者の速水敏彦さんは、「内発的動機付けには自律的と他律的がある」(2008年7月児童心理)と指摘しています。
内発的動機付けの面白い授業だけで終わってしまったら、次が続きません。なぜなら、「他の人(教師)に面白い授業をしてもらう」ことに慣れてしまい、結局「受身的」になってしまうからです。これを他律的な内発的動機付けと言います。
一方、面白い・楽しいという好奇心を満たす授業の後、さらに自分から学び続けるようになるのが、自律的な内発的動機付けの学びです。今までの小・中学校の学びは、内発的動機付けで「面白い授業」で終わることが多く、そのため学力が向上しなかったと言えます。特に1990年以降、「詰め込み教育」に敏感な先生は、宿題を出すことさえしなくなりました。これではほんの一部の子どもしか、学校の授業内容が定着しません。
「わかる」けれども、いざ問題を解いてみると「できない」という体験をすれば、だれでもモチベーションは下がります。次にまた何かをしてみよう、続けて勉強してみようとする子どもが減少してしまいます。
自律的な内発的動機付けにするには、「達成感」を持たせることが重要であることは言うまでもありません。そのため、「面白い授業」の後は努力して「練習(トレーニング)」をする時間が必要なのです。この当たり前のことが一時忘れられてしまったのが、学力低下の原因の1つであることは間違いないでしょう。
内発的動機付けが悪いのではなく、「やりっぱなしで努力することを教えなかった」ことが問題だったのです。
小宮山 博仁〔こみやま ひろひと〕
学研メソッドネットゼミ主宰。一貫して「小・中学生に本物の学力を身につけさせるにはどうしたらよいか」をテーマに学習塾を経営しながら、「できる」だけではなく「わかる」ことを重視した教育運動を新聞、雑誌などのメディアを通じて行う。主な著書に「塾の力」「大人に役立つ算数」(以上、文春新書)、「塾 —学校スリム化時代を前に」(岩波書店)、「子どもの『底力』が育つ塾選び」(平凡社新書)、「中学受験と生きる力」(日本評論社)など。
日本教育社会学会、日本キャリアデザイン学会、日本教育学会、日本教育心理学会などの会員。毎日小学生新聞(毎日新聞社)で教育コラム「小宮山塾」連載中。