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2010年02月10日公開
みなさんは『集中』と聞いて、何を思い浮かべますか?
コラムを読んでくださる親御さんのなかには、「うちの子は集中力が今ひとつだ」と悩んでおられるとか、指導者で「今どきの子どもは集中してひとつのことに取り組む力が弱い」と感じておられる方もいらっしゃることでしょう。
今回は集中力の源となる力で、実は子どもなら誰でも持っている力について、私の経験を踏まえて書きたいと思います。
これは私にとって、忘れられない教え子で、私が道場で指導していたB君(当時9歳)のエピソードです。
道場におけるB君は2つの意味で有名人でした。
ひとつは、稽古に向かう姿勢で、それまでに私が指導してきたどの道場生よりも、集中力がずば抜けていたということ。
そして、もうひとつは、集中力のピークを通り越した瞬間から彼に起こる変化です。
B君はとても体が小さく、道場に入ってきた当初は目を見張るような子ではありませんでした。
しかし、間もなく彼は私たち指導者の目を釘付けにしました。
15分間 —
稽古が始まってから15分の間、彼はもの凄い集中力で、全力で声を出し、動きます。
ところが、それを過ぎると彼はまるで別人になってしまいます。
ほとんど身体を動かさず、声も出さない。
誰よりも全力で稽古に打ち込んでいた彼の心は糸の切れた凧(たこ)のよう。
「もはや心はここに在らず」
心は空手にも道場にもありません。
“やることがないのに、ここにいる自分”
稽古が始まってわずか15分の間に彼は抜け殻のようになってしまいます。
あんなに声を出し、体を動かした片鱗はどこへやら。
たまたまお母さんが道場に見学にきたことがありましたが、そんなわが子の姿にカンカン。
集中力の切れたB君に怒り心頭でした。
それでも、当の本人はちらりとお母さんを気にしつつもお構いなし。
もうそんな状況には慣れっこなのでしょう。
みなさんはB君のことをどう思いますか?
集中力がなくて先が思いやられると思いますか?
短い時間しか集中することのできない、 しつけのなっていない子だと思いますか?
その時、その時、自分の気分次第で関心が移り変わっていく大物だと思いますか?
親御さんのなかにはドキッとされる方、指導者のなかには「そうそう、いるいる」と手を焼いている子を思い浮かべて、胸の痛む方もいるかもしれません。
以前に当コラムのなかで、大人の役割は“きっかけづくりをすること”であり、子どもを“ポジティブな先入観で見る”ということを書きました。
ここでも、その観点で考えてみてください。
彼の『宝』はなんでしょうか。
彼にしかない『宝』はなんでしょうか。
B君の集中力が続くのは短い間です。
「今、目の前にあることにもっと集中していなさい」と言ったところで、長い間は集中できません。
ひょっとすると、親御さんが子どもの主体性や好きなことを重んじて、躾をしすぎているのかもしれません。
『その子にしかない長所を見つけ、そこを磨くことでほめる部分をつくる』
これが私の指導方針です。
どんな『宝』があるのか、と思いながら、プラスに転じて、彼の行動を考えてみてください。
私の知る限り、B君は自分の意志で空手を始めています。
親御さんに勧められたからでも、強いられたからでもありません。
望んで道場に通ってきています。
ですから、一定の時間は空手に夢中です。
しかし、空手に夢中になったら、次は何に夢中になろうかな?
彼の行動からは自分の進みたい方向を自力で選び、決めようという強い意志があることが伺えます。
ほかのどの道場生よりも声を出し、体を動かし、最長15分ながら抜群の集中力がある。
B君のなかに「空手をやりたい」「続けたい」という欲求があるのは明確ですが、ひとつのものをやり続けるために絶対的に必要なものが抜け落ちています。
それは何か?
『セルフコントロール』です。
環境や状況に応じて自分を使い分ける力が足りないだけなのです。
「これは楽しい」「これが好きだ」「このことに頑張ろう」
つまり、B君は『夢中力』が誰よりも高かったのです。
その強い欲求とひとつのことに素直に、じっくりと向き合う澄んだ心は、ありたい姿、欲しいものを自ずと明確にし、夢を描く力につながります。
その夢の只中に立つ力 = 夢中力 こそ、彼のなかで際立っているものなのです。
その夢中力をマネジメントするのが、セルフコントロールであり、彼に最も必要な力です。
B君のようなタイプの子は大体いつも怒られてばかりいるので、ほめられるポイントをつくることで、一気に才能が開花する場合が多いのです。
実際、学校でもよく叱られていたようで、私から見るとそのような状況では、彼の『宝』を伸ばすことはできないと考えます。
では、家庭ではどのように接したらいいのでしょうか。
私がB君の親なら、家では躾として徹底的に教えるのはセルフコントロール。
それ以外、例えば、道場の稽古を見に行ったりしないで、家の外ではのびのびと過ごさせることです。
「集中力のない子」と大人がレッテルを貼ってしまえば、彼の可能性の扉は閉じたままですが、
“ポジティブな先入観”と“きっかけづくり”という視点で大人としてしっかりと見れば、彼が内面系の宝もコミュニケーション系の宝の両方を持ち合わせていることも見えてくると思います。
その後のB君ですが、数年後には空手の大会で実績を上げ、勉強面でも小学生ながら中学生のレベルまで進むほどの能力を身につけていきました。
それも、集中力の前段階、『夢中力』が備わっていたからでしょう。
私は『夢の真っ只中に立つ力 = 夢中力』こそ、集中力の源であると考えます。
さて、子どものなかの『夢中力』を引き出すクラスがフィットネスクラブ一撃にあります。
私が塾頭を務める『夢塾』です。
『夢塾』は4歳から18歳までを対象に、どのジャンルのスポーツにも共通する、心身を錬磨するアスリート育成塾です。
育成メソッドは、私のスポーツ経験、そして、スキーやサッカーで積んだ指導実績、さらには武道の稽古を通じて培ったものを骨格に、子ども一人一人の特性や個性、習熟度に合わせて、組み立てています。
夢塾では体を使うことを自己表現のひとつととらえ、頭の使い方と筋肉の使い方を同時に指導します。
飛ぶ、跳ねる、走る。どの動作も自分の筋肉を操ることが欠かせません。
力技ではなく、力加減を覚える。
全方位に目を配ることを覚える。
速さ、動きのダイナミズムを感覚で覚える。
テクニックにこだわって「教える」のではなく、筋肉を動かすと同時に頭を働かせる習慣を敢えて、「伝える」というスタンスです。
どうして、今、この動きが必要なのか? = 戦略を考える。
難しいと感じることに敢えて挑戦するという感覚を持つ。
これだけで子どもは夢中になります。
どこでも通用する集中力の前に夢中になるきっかけづくりが必要です。
どうしたらもっと強くなれるか?
どうしたらもっと高く飛べるか?
どうしたらもっと速く走ることができるか?
どうしたらもっと上手に投げられるか?
なりたい自分、ありたい姿を描き、その欲求に忠実になることこそ、夢中力であり、それがやがて何にも負けない集中力を生み出します。
もしも運動が苦手だとしても、そんなことを感じている暇はありません。
初めはできなくても大丈夫です。
子ども自身が「自分はできる」と感じ、指導する私も「君ならできる」と信じて伝える。
子どもたちが夢塾で過ごす時間は自分の顕在化している力をさらに伸ばし、潜在化している力を引き出す時間です。
戦略的に次の行動を考えながら体を動かすことを学べるのが夢塾です。
私の夢塾に興味がおありの親御さん、指導者のみなさん、ぜひ、子どもたちの“夢中な姿”をご見学にいらしてください。
Ichigeki 公式サイトはこちら

佐久間 俊行
1980年東京都生まれ。一撃グループCEO(最高経営責任者)。武道家。
国際空手道連盟極真会館総本部正指導員。
18歳で極真会館に入門し、日本代表としてチェチェン共和国で行われた試合に出場するなど、競技選手として活躍した後、27歳で引退。
28歳でフィットネスクラブ、カフェなどを展開する一撃グループ最高経営責任者に就任。現在、渋谷・恵比寿を中心にプロアスリート、エグゼクティブ、トップモデルのパーソナルトレーナーとしても活躍中。
独自に考案した効果抜群のトレーニングプログラム『一撃メソッド』は、フィットネスクラブ一撃の大ヒットプログラムとして注目を集める。